生産者に聞く、ケープバルブ・珍奇植物の植え替え&株分けのポイント
2021/6/9

GreenSnapでは、生産者と皆さんをオンラインで繋ぐ「ライブ配信」を開催しています。
今回のゲストは、高知にある「エリオクエスト」さん。高知県で南アフリカ原産の珍しい球根、塊根、多肉植物をネット販売されている生産者さんです。
今回のテーマは、「珍奇植物の植え替え&株分けのポイント」。また、ライブ配信で紹介したエリオクエストさんの商品と、配信中にコメントいただいた皆さんからの【お悩みQ&A】をレポートします!
(ゲスト:「エリオクエスト」代表・濱田征太郎さん インタビュアー:SANDY)
▼このライブ配信のアーカイプをご覧になりたい方はこちら
https://www.instagram.com/tv/COR31deCiAl/
▼第1回レポートはこちら
https://greensnap.co.jp/blogs/pages/20210430
日本有数の珍奇植物生産者「エリオクエスト」

エリオクエストさんは、おもに珍奇植物を扱う日本有数の生産者さんです。販売している植物はほぼすべて国内で種から育てた実生苗。日照時間日本一の高知の太陽をたっぷり浴びて、日本の気候に適応した状態の苗をお届けしているそうです。
また、エリオクエストさんでは南アフリカの珍奇植物をできるだけたくさんの方に楽しんでいただくため、YoutubeやSNSにて栽培方法や植物紹介などの情報を積極的に発信しているので、ぜひそちらもチェックしてみてください♫
エリオクエストさんの商品一覧へ珍奇植物って?

珍奇植物とは、超マニアックで珍しい植物(球根植物・多肉植物・塊根植物など)の総称です。圃場には、見たこともない不思議な形の植物がズラリ!中でもとくに人気なのが、塊根植物とケープバルブ。
塊根植物とは根っこや幹がぼってり、どっしりと膨らんだ植物のことで、重厚感と愛くるしい姿で人気を呼んでいます。
ケープバルブとは、南アフリカの旧ケープ州に生息する球根植物です。葉がくるくるしていたりボサボサしていたりと、ユニークな姿が楽しめる、今人気急上昇中の植物です。
珍奇植物の植え替えは「土」と「鉢」がポイント!

①土は”水はけ”と”保水力”と”保肥力”がポイント
球根も塊根も多肉も、”水はけ”と”保水力”と”保肥力(肥料の養分を保てる)”の両立した土が理想です。合わない土を使うと、しわ寄せがいくように水やりや換気が難しくなってしまうので、シンプルに管理しようと思ったら、土を一番大事にしてあげると世話が楽になります!
エリオクエストさんオリジナルの珍奇植物用の培養土「賢者の土」
エリオクエストさんではどの植物も1年を通して、オリジナル培養土の「賢者の土」を使っています。賢者の土は、赤玉土、日向土、腐葉土などを配合した、多肉、塊根、ケープバルブなどの珍奇植物のための培養土です。
赤玉土がメインに入っていると、粒自体が水を保持してくれて、大きい粒の間から水は抜けていくので、ちょうどいい水はけと保水力がつくれます。また、赤玉土は保肥力も優秀!砂だったら、養分が全部抜けてしまいますが、赤玉土は栄養を吸収し徐々に出してくれます。
ほかにも腐葉土の保水性や、日向土の排水性などをプラスして、ちょうど良い環境になるようにブレンドしているそうです。
②鉢は土の性質に合わせてチョイスすべし!
鉢は、土の性質に合わせて、通気性があるもの・ないものをチョイスすることが大切です。
エリオクエストさんでは、おもにプラ鉢や磁気などの通気性が少ないものを使っていますが、これは賢者の土の水はけがいいからです。素焼きの鉢などの場合だと、鉢自体の通気性がいいため、乾燥しやすい状態になってしまうので、合わないんです。
水はけがそこまでよくない土の場合は、通気性のいい素焼き鉢でもいいです。土と鉢はセットで考えるようにしましょう。
③鉢の大きさ・深さは植物に影響大!
とくにケープバルブ(球根植物)を植えるときは、深めの鉢がおすすめ。なぜなら、球根を土の中に植えこむので、普通の植物より深くないと球根下に根っこを張るスペースはなくなるからです。
また、土の量が多ければ多いほど環境が安定するので、水がすぐ乾かなかったり、温度変化が抑えられます。栽培的な面でいうと深めの方がベター。ただし、背を小さくがっしりした株に育てたいとき、あまり大きくしたくないときは、鉢の大きさで調整するといいですよ。
植え替えのやり方

今回はくるくるしている姿が魅力的なケープバルブ「キルタンサススピラリス」を植え替えていきます。
(2年くらい育ててきた球根が1センチほどの大きさでも、ちゃんと葉がくるくるしてました!かわいい!)
1.鉢の1番下に1センチほど石を敷く。鉢底の穴が見えなくなるくらい
(日向のぼら土を使っていたが荒めの小石だったらなんでもOK!)
2.土から出した球根を持ち、鉢の中の植えたい高さに固定する。植わっていた形状で植える
3.横から土をさらさらと入れていく。乾いた土がベター。
4.ゆするなどして、根っこの間にも土が入るようにする。
5.上に保水性の高い土を被せてコーティングする。球根上に1センチほど土がかぶさればOK。
(エリオクエストさんが使用しているのは、赤玉土2:と薩摩土1の割合でを混ぜたもの、ほかには化粧土など)
6.植え替えたら、すぐに水やり。細かい土や泥だらけの水が透明になるくらいまであげましょう。
これで植え替え完了です!!
株分けのやり方

ハオルチなどの多肉植物は、子株がどんどんついてきますので、株分けしていきましょう。とっても丈夫なので真冬以外は植え替えをしてOK!(配信中は2年くらい育てたもので解説してくれました)
1.土から取り出す
(日向のぼら土を使っていたが荒めの小石だったらなんでもOK!)
2.分かれそうなところからパキッと割る。簡単に取れますよ!
3.根っこを少し残し、古い根っこは、整理してあげましょう。バクテリアの住処としてジメジメさしたり、排水性が悪くなるのを防ぎます。
※古い根っこしかなかったら固定されないので、そのままでOK!太い根もカラカラしてたらとってOK!
※下葉も枯れてたり弱くなってたり多くて形が悪かったりしたら、とってOK。
4.それぞれを植え替えていきます。葉っぱが土に触らないぐらいの高さがベター
5.ゆするなどして、根っこの間にも土が入るようにする。
6.上に保水性の高い土を被せてコーティングする。
※ハオルチアで気をつけるのは、栽培中の水やりすぎや土の選び方。通気性さえあれば、植え替えで失敗することはほとんどないそうです。根っこで呼吸をしているので、酸素がいかないとどんどん根腐れしてしまいます。酸素がいくことが大事!
また、子株ができて大きくなり鉢にぎちぎちしてきたとき、株分けしないで、大きい鉢に植え替えるだけでもOKですよ。
エリオクエストさんのおすすめ!
今回は、配信中ご紹介した人気の3種に加え、イチオシの植物をご紹介!
(初心者向け)パキポディウム・ロスラツム|3号 塊根植物

塊根植物の代表的な種類として知られる「パキポディウム」。そのなかでも、パキポディウム・ロスラツムは、ピント張ったシャープな葉っぱとぼってり膨らんだ幹が魅力的です。花も美しく、丈夫で育てやすいので、塊根植物やパキポディウムのデビューにおすすめです。
【多肉植物】ハオルチアおすすめ5鉢セット

ハオルチアは、宝石のように光る透明の”窓”が美しい定番人気種です。子株がどんどん増えていき、初心者でも育てやすいですよ!
【ケープバルブ】キルタンサス・スピラリス

ケープバルブの「キルタンサス・スピラリス」は葉が直立して、上に向かってくるくるとカールして伸びる姿が魅力的。強い日差しや感想から身を守るために、葉をくるくるさせて日陰を増やすように進化した姿なんだとか。
育てるのも難しくなく、夏や秋の初めに咲かせる真っ赤な花も魅力。
【ケープバルブ】オーニソガラム・トルツオスム|3号

ケープバルブの「オーニソガラム・トルツオスム」は、チリチリくねくねの細い葉が特徴。常緑で、一年中チリチリの葉っぱを楽しめます。涼しくなる夏の終わり頃から、活動をはじめ、そのときに長い花茎をのばして白い花を咲かせますよ!
【ケープバルブ】エリオスペルマム ドレゲイ

ケープバルブの「エリオスペルマム・ドレゲイ」は、独特の派手な付属器とイボイボのある塊茎が魅力的。
ユーザーさんからのお悩みQ&A
Q:多肉植物が下から枯れてきた・・
水が足りない、または、窒素分が足りない可能性があります。水が少なかったり、根詰まりしていたり、肥料が足りないと、根っこから栄養分が葉っぱまで届かず、下の葉を枯らして上の葉に栄養分を回してしまいます。植え替えてあげると改善することが多いです。
Q:小さい多肉植物は小さい鉢のままでOK?
小さいサイズの多肉植物でも、ある程度大きい鉢のほうが育てやすいと思います。最低でも3号鉢(6×6×10センチ)ほどがいいですね。水がすぐ乾かないし、大きい分、土の温度もゆるやかに上がったり下がったりするので、ショックが少ないです。
Q:pH(土壌酸度)はどのくらがいい?
珍奇植物のpHは普通の植物と同じくらいの5~6.5ぐらいの間で大丈夫です。肥料をあげすぎたり、雨ざらしではない限りそこまで pH も変動しないと思いますよ。
そもそも、土が崩れてきたりサイズが大きくなりすぎたりして、2年ぐらいで植え替えることが多いので、そんなに気を使わなくても大丈夫です。
Q:肥料はどれくらいの頻度・量であげる?
「マグァンプK」という固形肥料は、最初に元肥として混ぜてあげたら、1~2年くらい(次の植え替えのタイミングで)大丈夫ですよ。
リンを多めにすると、花付がよくなることもあるようですが、基本最初の元肥でOK。大きな葉を付けないし肥料消費量は少ないため、追肥はしてないです。
肥料の量は、バケツ一杯(5リットル)程度の土に大さじ1くらいでOKです。
Q:ハオルチアが徒長してしまった。株を切って挿し木していい?
徒長しているということは、光合成できてないので、葉っぱに栄養分が溜まってないんですよね。
満足に光合成ができてない株をそのまま挿し木してしまうと、根っこがない状態で葉っぱに残っている栄養だけで生きていくことになるので貯金がない状態。元気にしてあげてから挿し木などしてあげたほうが成功率は上がりますよ!
Q:葉先の焼けは暑さですか?
葉先の焼けの原因としては日が強かったり、枯れてまで来ると、水が吸い上げられてないことや暑さですかね。ただ暑さと言っても、水さえあればどんどん葉っぱから水を蒸発させて自分で温度を下げるので、水さえ吸えるような環境になってればOK。
風を当てて周りの湿度を飛ばして、葉の周りに蒸散できるような環境をつくってあげると、植物が自分で調整します。また、半日陰が最適なので、日当たりが強すぎると思うときは、半日は直射日光の当たるところ、半日は日陰に移動してあげるとよいですよ。
Q:買ってきた植物はすぐに植え替えてOK?
自分が持ってるコレクションが他にある場合、それと似たような植物なら同じ土に植え替えて、同じ管理をできるとよいので、すぐに植え替えて大丈夫!別で買ってきたから1つだけ別の土を使っていると、別の管理をしなくちゃいけなくなるので大変です。
また、根や葉の状態なども見て、鉢のサイズが小さすぎる場合などはすぐに植え替えてあげましょう。
Q:冬型の夏越えの管理方法は?
日陰に移し、遮光して、水をあげない、でOK!数が多かったり、室内に取り込む環境がない場合なども、風通しをよくして乾燥させて遮光ネットで日光が当たらないようにするなど、環境を整えてあげましょう。一か月間に1回か2回ぐらいなら水やりして、様子を見てもよいですね。
HAPPY PLANTING!次回の配信もお楽しみに♫
植え替えや株分けのポイント、ぜひ参考になさってくださいね。
次回のテーマは「梅雨時の管理について」。質問やコメントもぜひお寄せくださいね!
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▼第1回レポートはこちら
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