【ぶどうの病気・害虫一覧】葉っぱや実につく害虫や病気の症状、対策を解説!
2024/5/22
ぶどうは実は家庭菜園でも栽培しやすい人気の果樹ですが、様々な病気や害虫にかかりやすいのも事実です。ここでは、ぶどうにつきやすい主な病気と害虫、そしてその予防法や対処法をご紹介します。
ぶどうがかかりやすい病気は?

Photo by 花音♪さん@GreenSnap
ぶどうは湿気に弱く、雨が多い時期に病気を発症しやすくなります。主な病気には、晩腐病、さび病、べと病、黒とう病、褐斑病、うどんこ病、灰色かび病などがあります。
発症すると葉や果実が傷み、収穫量が減ってしまうので注意が必要です。
晩腐病(おそぐされびょう)
ぶどうの晩腐病は、最初は実の表面に小さな黒い斑点ができますが、だんだんと広がって実全体が腐り、腐った実はしわしわに干からびた状態になってしまいます。この病気の原因は、雨や風、雹によって葉が傷つくこと。蔓についた菌は越冬して、春の雨で胞子を出し始めます。
梅雨の時期に雨が多くなると、この菌の胞子が風に乗って飛び散り、健康な実にも感染が広がってしまうのです。晩腐病を防ぐには、農薬を適切に使う「薬剤防除」と、枝の剪定など栽培方法を工夫する「耕種的防除」の両方が大切だと言われています。また、雨によって病気を発症することが多いので、雨よけ対策が大切です。
さび病
ぶどうのさび病は、ぶどうの葉に発生する病気です。最初は葉の表面に小さな黄色い斑点ができますが、だんだん大きくなっていきます。その後、葉の裏側にオレンジ色の粉のようなものが現れてきます。これは「さび胞子」と呼ばれる菌の胞子です。9月ごろになると、葉の裏側に角張った形の茶色い塊ができてきます。これは「冬胞子堆」と呼ばれ、菌が冬を越すための構造になってきます。病気がひどくなると、葉全体が枯れて落ちてしまいます。
この病気の菌は、落ちた枯れ葉の上で冬を越します。そして春になると、周辺のアワブキなどの植物に移り、そこで増えた胞子がぶどうに感染して病気が広がっていきます。さび病は梅雨が明けた後の雨が多い時期に発生しやすくなります。湿った環境が続くと菌が活発になり、病気が広がりやすくなるためです。初期の症状に気づいたら、早めに農薬を散布して対策をとることが大切です。枯れ葉も片付けて、菌が残らないようにする必要があります。
べと病
ぶどうのべと病は、ぶどうの葉や果実に発生する病気です。初期症状は葉の表面に黄色い斑点ができ、その後裏側に白い綿のようなカビが生えてきます。この病気は雨が多い時期に発生しやすく、一度発生すると短期間で広がってしまいます。
病原菌は落ち葉の中で冬を越し、春になると胞子が飛んで健康な葉に感染します。発病すると葉が黄色くなり落ちてしまうので、早期発見と適切な農薬散布が重要です。収穫前に防げないと、果実の品質が低下する恐れがあります。
黒とう病
ぶどうの黒とう病は、ぶどうの葉に発生する病気です。カビの一種が引き起こす病気であり、初期症状は枝や葉に黒い小さな斑点ができます。その後、斑点が大きくなり、葉には穴が開いたり丸くなってしまいます。病気が進行すると、枝が枯れたり、果実が軟らかくならずに腐ってしまいます。
この病気は雨が多い時期に発生しやすく、一度発症すると短期間で広がってしまいます。発見次第、早めに専用の農薬を散布することが大切です。また、感染した枝や葉は密閉して処分し、病原菌を残さないよう注意が必要です。適切な対策を怠ると、収穫量が大幅に減ってしまう恐れがあります。
褐斑病(かっぱんびょう)
ぶどうの褐斑病は、葉に小さな茶褐色の斑点ができる病気です。この斑点は次第に大きくなり、真ん中が黒くなります。高温多湿の環境で発生しやすく、放置すると葉が枯れてしまいます。予防対策としては、株元の通風を良くしたり、マルチングで土からの菌の飛散を防ぐことが重要です。発病した場合は、早期に殺菌剤を散布して病勢を食い止める必要があります。適切な対策を行わないと、果実の収量や品質が大きく低下する恐れがあります。肥料の過不足にも注意が必要です。
うどんこ病
ぶどうのうどんこ病は、葉や新芽、果実に白いカビのようなものが生える病気です。初期症状は葉に小さな黄緑色の斑点ができ、次第に白いカビが広がっていきます。発病が進むと葉が退色したり、果実が変形・腐敗する恐れがあります。この病気は乾燥した環境を好み、春から秋にかけて発生しやすくなります。適切な薬剤散布と、風通しの良い環境づくりが予防対策として重要です。初期に発見次第、早めの対処が必要不可欠な病気です。
灰色かび病
ぶどうの灰色かび病は、葉や果実に灰色のカビが生え、徐々に広がっていく病気です。 発病初期は葉や果実に小さな水浸し状の斑点ができ、次第に灰色のカビが密生します。 高温多湿の環境で発生しやすく、放置すると果実が腐敗して品質が大きく低下します。
予防対策としては、株元の通風を良くしたり、密植を避けることが重要です。 発病した場合は、早期に適切な薬剤を散布して病勢を食い止める必要があります。
ぶどうにつきやすい害虫
カメムシ類
カメムシは、ぶどうの果や新梢から吸汁して被害を与える害虫です。果実や葉は、吸汁された部分から変形したり、腐敗しやすくなります。カメムシを防ぐは農薬散布が有効ですが、収穫前の使用には注意が必要です。
ブドウトラカミキリ
ブドウトラカミキリは、ぶどうの枝や幹に卵を産み、卵から孵った幼虫が内部を食い荒らす害虫です。被害にあった部位は徐々に枯れ、最悪の場合は株全体が枯れてしまいます。剪定の時期に色が褐色に変わっている枝をしっかりと取り除き、休眠期に薬剤を散布しましょう。
チャノキイロアザミウマ
チャノキイロアザミウマは、ぶどうの新芽や果実から吸汁し、褐色の傷を残す害虫です。被害が進むと、ツルや実がコルクのように固くなってしまいます。0.3~0.8mmほのとても小さい害虫ですが、大きな被害をもたらすため、発生初期からの適切な防除が不可欠です。チャノキイロアザミウマを防ぐには薬剤の散布が効果的です。
サルハムシ
サルハムシは、ぶどうの新芽や花穂、果実を食害する小さな害虫です。幼虫は葉を食べ穴をあけ、成虫は果実の皮を突き刺して汁を吸収します。被害を受けた果実は変形したり腐りやすくなるので注意が必要です。サルハムシを防ぐには専用の農薬を散布しますが、収穫前の使用には十分気をつけましょう。
ブドウサビダニ
ブドウサビダニは、ぶどうの葉の裏側に集まり、汁を吸うとても小さな害虫です。被害を受けた葉は錆びのような斑点ができ、ひどくなると落葉します。防ぐのが難しい害虫ですが、専用の農薬を散布することで被害を抑えられます。発生初期の対策が重要です。収穫前の農薬使用には十分注意しましょう。
ブドウスカシバ
ブドウスカシバは、ブドウの枝の中心部を食べる害虫です。幼虫が枝に穴を開け、内部に入り込むと、枝に赤紫色のコブができ、先の枝や葉がしおれて枯れてしまいます。ブドウスカシバを防ぐには、薬剤を散布したり、被害にあった枝を切り取ることが有効です。また、メスの侵入を防ぐネットの設置や光反射資材の使用も効果的です。
ぶどうが病気になった時の対処法
ぶどうの病気に気づいたら、まず発症した部分を取り除きます。その上で農薬を散布し、病気の広がりを食い止めましょう。発症が進行している場合は、植え替えるなどの対処も検討する必要があります。
ぶどうの病害虫を予防する方法
ぶどうの病害虫を予防するには、次の点に気をつけましょう。
- 株元の風通しを良くし、過湿を避ける
- 適量の肥料を与え、樹勢を維持する
- 冬季に落ち葉や枯れ枝を片付ける
- 発生初期に農薬を適切に散布する
- 天敵昆虫を活用する
病気を予防して、ぶどうを元気に育てよう!
ぶどうは病気や害虫に注意が必要な果樹ですが、雨を避けて、病気を早く発見して対処をすれば、美味しい実を収穫することができます。ぜひ、この記事を参考に、ぶどう栽培に取り組んでみてくださいね。