【イングリッシュガーデンの作り方】狭い庭もおしゃれに見せるには?
2025/4/22
映画やドラマのワンシーンのようにナチュラルに花が咲きほこるイングリッシュガーデンは、ガーデニングを楽しむ方なら誰もが一度は憧れる庭園スタイルではないでしょうか。
実はイングリッシュガーデンは、自然の姿を大切にする日本の造園スタイルとも調和が取りやすく、住まいが小さい日本の家庭でも気軽に楽しむことができます。
今回はイングリッシュガーデンの作り方や花や植物の選び方などについて詳しくご紹介していくので、ぜひ参考にしてくださいね。
そもそも、イングリッシュガーデンとは?
Photo by rikoさん@GreenSnap
自然を活かす庭園づくり
イングリッシュガーデンとは、ガーデニングの本場であるイギリスで18〜19世紀に確立された庭園様式です。
それまで主流であった、いわゆるお城の庭のように豪華で人工的な庭をつくるフランス式やイタリア式の幾何学式庭園とは異なり、イングリッシュガーデンでは自然本来が持つ美しさをそのまま生かし、人の手をあまり加えないという考え方で庭づくりを行います。
つまり、イングリッシュガーデンとは自然を再現する庭園のことをいうもので、現在でも多くの人に楽しまれています。
「風景庭園」と「コテージガーデン」の2スタイル
そんなイングリッシュガーデンは、大きく「風景庭園」と「コテージガーデン」の2つのスタイルにわけられます。
「風景庭園」は、湖や川など自然の景観を活かし、広大な土地につくられる庭です。一方、「コテージガーデン」は、小さな家の庭に適しており、土地に根ざした植物を使い、先人の知恵を取り入れたナチュラルで温かみのある庭づくりが特徴です。
現代の住宅庭園で「イングリッシュガーデン」と呼ばれるものは、主にこの「コテージガーデン」を指すことが多いです。
日本のイングリッシュガーデン
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日本でいうイングリッシュガーデンも、草花を自然に植え込む「コテージガーデン」と呼ばれる様式を指すのが一般的です。とりわけのどかな田舎の田園風景をイメージしてバラや果樹、
コテージガーデンでは、ありのままの自然を生かしたナチュラルな雰囲気をつくりながらも、草丈や花色のバランスを計算して配置します。バラなどのつる性の植物を絡めてつくったアーチや多年草を用いたボーダー花壇、レンガや石などの素材を、うまく組み合わせながら庭づくりをします。
また、日本でイングリッシュガーデンをつくるには、小さくて狭い庭を生かすことも重要な要素。プランターなどを使うことで、マンションなどの狭いベランダでも小さな庭をつくることができますよ。
イングリッシュガーデンの作り方
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1.庭のテーマを決めて計画する
まずは自分の好みや、庭の場所や大きさなどからどんな庭にするかテーマを考えましょう。気候や土壌条件に合わせた適切な植物を選ぶのも大切です。
イングリッシュガーデンには、壁際など横長のスペースを生かしてつくる「ボーダーガーデン」、同じ種類の植物を集める「ローズガーデン」や「ハーブガーデン」、果樹を楽しむ「オーチャードガーデン」、耐陰性の強い植物を集めた「シェードガーデン」、白い花とシルバーリーフのみで作る「ホワイトガーデン」、単色にこだわった「カラーガーデン」などさまざまな種類があります。
広大な敷地があるイギリスの庭では、さまざまなテーマを組み合わせた庭づくりができますが、住まいの小さい日本では、ご家庭の庭の広さに合わせていずれかのテーマに決めれば良いでしょう。
2.植栽を決め、土壌の準備を行う
テーマを決めたら、植え込む植栽を決めていきます。植え込む植物は、季節や場所によって異なります。例えば、夏は草花やハーブ、秋は果樹や紅葉する樹木が適しています。植物を選び終わったら、土壌の準備を行いましょう。
3.植物を適切に配置する
植物の色や形、背丈の高さや幅、性質を理解して、それぞれの適切な場所に配置しましょう。イングリッシュガーデンは季節感がとても大切です。自然と同じように植物の四季折々の姿を楽しめるように植栽していきましょう。
狭い庭のイングリッシュガーデンをおしゃれに魅せるコツ
Photo by 和さん@GreenSnap
初心者さんは、ボーダーガーデンがおすすめ
イングリッシュガーデンの代表的なスタイルのひとつに、「ボーダーガーデン」があります。ボーダーガーデンとは、壁際などの横長のスペースに高低差を意識して植物を配置することで、立体感のある庭をつくる手法のことです。
具体的には、後方に背の高い宿根草やグラス類、低木、中間層は膝丈ほどの高さの宿根草やカラーリーフ、球根植物、一番手前には横に広がるグラウンドカバーや、季節の一年草、背の低い球根などを配置していきます。また、つる性の植物をアーチやフェンスに絡ませて立体的に見せたり、鉢植えやオブジェを置くことでリズム感を出していきます。
初心者さんは、まずはボーダーガーデンから始めてみるのがおすすめです。プランターなどでつくる寄せ植えでも、植物の高低差を意識することで素敵につくることができるので、ぜひ意識してみてくださいね。
あえて花色を揃えないことで、自然な雰囲気をつくりあげる
イングリッシュガーデンでは、あえて花色を統一しないことでより自然な印象に近づけることができます。とはいえ、何も考えずに好みの花を植えると雑多な印象になってしまうので、調和の取れる色選びを意識してくださいね。
色選びに自信がない場合は、同色系の花をグラデーションになるように配置するとイングリッシュガーデンらしい素敵な庭をつくることができるでしょう。 また、植物の性質を把握し、花が咲く季節や日当たりを考慮して植え込むことを忘れないようにしましょう。
自然素材の小物を使う
イングリッシュガーデンでは基本的に自然素材の小物を使います。プラスチックなどの人工物はなるべく使わず、天然の木や石、テラコッタや陶器のものを選びましょう。
また、庭の中で一番目線を集める場所に、シンボルツリーや大きめのオブジェなど印象的な要素(フォーカルポイント)を配置するのもイングリッシュガーデンの特徴です。
ブリキのジョウロや、バードバス、テラコッタポットや木製のベンチなど、小さな庭でも置けるナチュラルな小物を配置してみましょう。
イングリッシュガーデンづくりにおすすめの草花
植物の性質には、主に3種類があります。イングリッシュガーデンでは、花の咲く時期や性質を活かして季節を通して花を楽しめる環境をつくりましょう。
- 一年草:基本的に種まきをした年に花が咲き、種をつけて枯れる草花のこと。毎年タネをまいて育てる必要がある。アサガオやひまわりなど。
- 二年草:種まきした年は花を咲かせず、休眠して越冬して2年目に花を咲かせる草花。カスミソウ、シレネ、ジギタリスなど。
- 多年草(宿根草):一度種まきすれば、数年にわたって花を咲かせる草花。冬の間は地上部が枯れるが、根が生き続ける。ユリやダリア、クリスマスローズなど。
バラ
イングリッシュガーデンといえばバラというほど、バラは欠かせない存在です。オールドローズやイングリッシュローズを使えば、気品を感じる美しい花に加えて甘いバラの香りまで楽しめます。
バラは色も豊富なので、テーマに合わせて色味を選ぶこともできますし、つる性のバラを選べばアーチや壁に這わせることもできます。
パンジー・ビオラ
花期が長く冬も楽しめるパンジー・ビオラは花色が豊富なので、庭のテーマに合わせて好みの色を選べるのも魅力のひとつ。背丈が小さくコンパクトに育てられるので、ボーダーガーデンでは手前に植えたり、ハンギングや寄せ植えなどにしてアクセントにしても良いでしょう。
クレマチス
クレマチスはつる性の植物なので、フェンスや壁に這わせて雰囲気のある景色を作り出してくれます。クレマチスには一季咲き、四季咲き、冬咲きなど様々な品種があり、様々な品種を選んで植え込むことによって一年を通して花を楽しむことができます。
イングリッシュガーデンづくりにおすすめのハーブ
ラベンダー
青紫色の鮮やかな花を咲かせるラベンダーも、イングリッシュガーデンでは定番の植物です。耐寒性の高いもの、耐暑生の高いものなど、品種によって適した地域が異なるので自宅の環境に合った品種を選びましょう。
ラベンダーの甘い香りにはリラックス効果があるとされており、ポプリやドライフラワーにして楽しむこともできます。背丈が高いので、ボーダーガーデンにも適しています。
チェリーセージ
チェリーセージは、初夏から晩秋まで長い期間花を咲かせる多年草です。名前の通り、葉を揉むとさくらんぼのような甘い香りがすることが特徴。
一度に咲く花数は少なく控えめな印象ですが、ナチュラルなイングリッシュガーデンの雰囲気にはぴったりの植物です。
ローズマリー
香りが良いハーブであるローズマリーは、とても丈夫で育てやすいのでどなたでも簡単に育てることができます。ハーブをいくつか植え込むと、野原のように自然で華やかな雰囲気の庭をつくれます。収穫した葉は料理にも使えます。
イングリッシュガーデンづくりにおすすめのグランドカバー
ブルンネラ
ブルンネラは、春に株を覆うようにふんわりと青い小花が咲く日陰に強いカラープランツです。爽やかで可愛らしくナチュラルな雰囲気は、シェードガーデンにもおすすめです。
冬場は地上部が枯れて休眠するので、休眠前には残った葉を株元から刈り込んでやります。そうすると翌年もまた新しく綺麗な葉を楽しめるでしょう。
エリゲロン
エリゲロンは、イングリッシュガーデンで最もポピュラーなグランドカバーの一種です。直径2cmほどの素朴な雰囲気の小花が春から秋まで長く咲き続け、日本の小さな庭でも圧迫感なく庭を彩ってくれます。
庭の脇役として、小道の縁取りや、グランドカバー、石の隙間、花壇など、様々な場所に使いやすいのも魅力です。
アイビー
ハート型の葉が可愛いアイビーは、生命力が非常に強いツル性の植物です。耐陰性も強く日陰でも育てられ、冬場も問題なく育つので、グランドカバーの役目をしっかりと果たしてくれます。
生命力が強すぎるので、地面に植えずにまずは植木鉢などで育ててツルを這わせても良いでしょう。
イングリッシュガーデンのお手入れ方法
イングリッシュガーデンは四季を通して楽しむ庭なので、庭を定期的に整えてあげることが大切です。雑草を取り除いたり、枯れた葉や落ちた花は定期的に摘み取って痛んだ部分が広がらないように手入れを欠かさないようにしましょう。
庭を整えることで、植物がより健康的に育ち、見た目も美しくなりますよ。
自宅の庭にイングリッシュガーデンをつくってみよう!
イングリッシュガーデンの作り方やコツについてご紹介しました。実際に作る際は、これらのポイントを参考にしながら、自分の好みや条件に合わせた庭を作ってみましょう。