桜の種類一覧|写真つきで品種ごとの特徴と見分け方を解説
2023/2/20
桜と呼ばれるようになったのは、日本神話の「コノハナサクヤビメ」からです。可憐な印象がある一方でどこか儚さや寂しさを感じるのは、彼女の美しさや儚さに通じるものがあるのでしょう。
今回はそんな桜の種類や特徴、開花時期などを詳しく解説します。特徴や種類を押さえて桜をより楽しみましょう。
桜とはどんな庭木?
Photo by かおるっちさん@GreenSnap
桜は日本だけに存在する植物と考える方も多いのではないでしょうか。実は桜は北半球の温帯地域に分布する植物。しかし、美しい花を咲かせるのはアジアのなかでも日本に集中することから、見頃を迎えた桜を見るために、世界各国から観光客が訪れるほど人気があります。
桜に共通する情報としては、バラ科、サクラ亜科の2科に分かれる植物であること。可憐な花をつけるものの、バラ科に属するのは意外ですよね。なお、私たちが鑑賞する桜は、主にサクラ亜属に該当するものです。
桜にはどんな種類・品種がある?
地球上でも比較的広範囲にわたって分布する桜は、日本だけでも600種類以上分布しています。分類方法の違いなどもあることから、正確には数え切れないほどの数があるとも言われています。
とはいえ、もとを辿れば11種の「基本野生種」がルーツ。基本野生種には主に以下の特徴が見られ、花びらや木の特徴、開花時期などを細かく観察すれば、どの品種に近いかも調べられます。
- 先に花が咲くか、葉・花が同じタイミングで出るか
- 花びらの色が白、ピンク、濃いピンク
- 花びらの枚数が5~6、または100枚以上
桜は突然変異する特徴によって自然勾配が頻繁に起きる植物でもあります。そのため、日本では100種類以上も確認済みと言われています。
【基本】日本に自生する桜の種類・品種
ここでは日本に自生する桜として最もポピュラーな11品種について、開花時期や特徴をご紹介します。
山桜(ヤマザクラ)
Photo by JOUROさん@GreenSnap
開花時期:3~4月
山桜(ヤマザクラ)はバラ科サクラ属の桜です。落葉高木で3月下旬から4月にかけて見頃を迎える山桜は、大きいものだと30mにも伸びます。20~30mと比較的大きく生長する特徴から、桜の中でも高木に分類されます。
山間に自生する桜の総称である山桜は、日本固有種のひとつとして今も多くの人に親しまれる品種です。
大山桜(オオヤマザクラ)
Photo by Nyataro_55さん@GreenSnap
開花時期:4~5月
大山桜(オオヤマザクラ)はバラ科サクラ属の植物で、20~25mほどに育つ桜です。落葉高木で、葉と同時に花が咲く特徴があります。
花の直径は3~5cmほどと大きく、見頃を迎える4月下旬~5月上旬には、木が一面ピンクに染まり、多くの観光客を楽しませます。固有種のひとつで、花が散ると水分を多く含む実をつけます。
丁字桜(チョウジザクラ)
Photo by takuさん@GreenSnap
開花時期:3~4月
丁字桜(チョウジザクラ)は一風変わった花びらをつける桜です。花が下に向き「丁の字」に見えることが由来とされています。
なお、原産国は中国で、ジンチョウゲの仲間でもあります。藤を彷彿させることから「フジモドキ」といった別名もあります。
花の直径は2cmほどと小さく、固有種のひとつとして日本でも大切に取り扱われる品種です。
豆桜(マメザクラ)
Photo by あゆぅさん@GreenSnap
開花時期:3~5月
豆桜(マメザクラ)は関東南部から中部の山林地帯に分布する桜です。日本の固有種であり、桜の基本種でもあります。別名を「富士桜(フジザクラ)」と呼び、白や薄ピンク色のかわいらしい花をつけます。
丁字桜のように下に向いて花を咲かせる特徴があり、豆桜と呼ばれるようになったのは、その花の直径が桜の品種の中でも最も小ぶりであることに通じています。
霞桜(カスミザクラ)
Photo by ブンブンさん@GreenSnap
開花時期:4~5月
霞桜(カスミザクラ)は大型の落葉高木の桜です。下から中心に幹は分岐し、枝が横に広がる盃型の樹形になるのが特徴です。霞桜の花が終わる頃には小さな実がなり、紫黒色に変色すると渋みや苦みのある実に成熟します。
霞桜はヤマザクラ群、カスミサクラ系の品種ですが、葉にはごく少数の毛が生えるといった特徴も見られます。
大島桜(オオシマザクラ)
Photo by toto.kamaさん@GreenSnap
開花時期:3~4月
大島桜(オオシマザクラ)は染井吉野や江戸彼岸桜などの片親的存在の桜です。葉と花が同時に咲く基本種で、伊豆半島周辺に分布することから大島桜といった名前がつけられました。
春が近づくと食べたくなる桜餅には桜の葉を使用していますが、実はこの大島桜の葉を塩漬けにしたものを使っています。白い花が枯れる頃には小ぶりの実をつけますが、食用ではないので口にしないよう注意しましょう。
江戸彼岸桜(エドヒガンザクラ)
Photo by よりさん@GreenSnap
開花時期:3~4月
江戸彼岸桜(エドヒガンザクラ)は本州から九州へと広範囲にわたって自生する桜です。春のお彼岸を迎える頃に花をつけることから「江戸彼岸」といった名前がつけられました。
花は薄紅色や白などが多く、5枚の花びらがつきます。桜の中では特に長生きする品種で、各地の里山では天然記念物に指定されていることも多いです。また、多くの品種の交配種であり、染井吉野の片親としても有名な品種です。
高嶺桜(タカネザクラ)
Photo by Linmokuさん@GreenSnap
開花時期:5~7月
高嶺桜(タカネザクラ)は桜の中でも最も標高の高い部分に自生する桜です。そのため、開花時期はどの品種よりも遅いです。
別名を「峰桜(ミネザクラ)」とも呼ばれる高嶺桜は、薄紅色や白い花をつけます。花の中央に向かうほど濃い色合いになるので、ひとつで二度楽しめる味わい深さがあります。樹高はそれほど大きくならず、5~10mほどが一般的です。
深山桜(ミヤマザクラ)
Photo by 南国のくまさんさん@GreenSnap
開花時期:4月下旬
深山桜(ミヤマザクラ)は日本を中心に、朝鮮半島や中国東北部、サハリンなどに分布する桜です。深山桜同様に基本野生種で、高山や寒冷地方に自生することが名前の由来とされています。
樹高は5~10mと低木で、花を付けていない頃に見かけても、桜の木だと判断しにくい特徴があります。なお、花の形状が一般的な桜とは異なるほか、白い花といった見た目もあり、辛夷(コブシ)と勘違いする人も少なくありません。
寒緋桜(カンヒザクラ)
Photo by きよしさん@GreenSnap
開花時期:1~2月
寒緋桜(カンヒザクラ)は旧暦の正月(毎年1月22日)頃に咲き始めることから、元日桜(ガンジツザクラ)とも呼ばれる桜です。緋寒桜(ヒカンザクラ)と寒緋桜は同じ品種で、ほかにも台湾では台湾桜(タイワンザクラ)と呼んだり、緋桜(ヒザクラ)と呼んだりすることもあります。
日本では本州を中心に分布し、4mほどの樹高に育ちます。濃いピンクの桜として有名で、その鮮やかさには見とれる観光客も多いです。
熊野桜(クマノザクラ)
Photo by yoshiyan510さん@GreenSnap
開花時期:3月
熊野桜(クマノザクラ)は三重県南部から和歌山県南部の山奥に咲く桜です。3〜4月の見頃には、熊野を中心に桜を楽しむ催しが開催されます。葉よりも先に薄ピンク色の花をつける特徴があります。
落葉高木で樹高は8mほどと低木です。大きく生長しても15mほどであるものの、満開を迎えると息を飲むほどの美しさが感じられます。
【定番】日本でよく見る桜の種類・品種
日本でよく見かける桜は基本種のほかに、園芸種や突然変異や交配して誕生した品種などたくさんの種類があります。
ここでは定番の桜としてポピュラーな5種類についてご紹介します。
染井吉野(ソメイヨシノ)
Photo by みかんさん@GreenSnap
開花時期:3~4月
染井吉野(ソメイヨシノ)は日本を代表する桜です。樹高は大きいものでも15mほどで、低木に位置します。園芸品種の代表格として親しまれるほか、一重咲きで楽しめる期間が非常に短いことから、染井吉野の周辺は多くの観光客で賑わいます。
なお、葉よりも先に花をつける特徴は、染井吉野の親が大島桜や江戸彼岸桜であるためです。まれに実をつけることがありますが、苦みが強いため食用には不向きです。
枝垂れ桜(シダレザクラ)
Photo by よっちゃんさん@GreenSnap
開花時期:3~4月
枝垂れ桜(シダレザクラ)はどの品種よりも枝が細く、花が下に垂れ下がって見える桜です。動物園や公園、神社などに植えられることの多い品種で、ライトアップして夜桜としても楽しむことが多いです。
なお、枝垂れ桜には糸桜(イトザクラ)や大糸桜(オオイトザクラ)といった別名もあり、それぞれ糸のように垂れている枝が由来とされています。
河津桜(カワヅザクラ)
Photo by snowさん@GreenSnap
開花時期:2月
河津桜(カワヅザクラ)は濃いピンク色の花をつける桜です。紀伊半島の河津町にメインに咲くためこのような名前が付けられたとされています。桜の中でも特に早く咲くことから早咲き桜として有名で、2月頃には開花し、1ヵ月も咲き続ける特徴があります。
河津桜は寒緋桜と大島桜の交配種で、つぼみや咲き始めは濃いピンクを、満開を迎える頃にはピンクに変化します。
八重桜(ヤエザクラ)
Photo by わたわたさん@GreenSnap
開花時期:4月
八重桜(ヤエザクラ)は一般的な桜よりも開花が遅めの桜です。山桜や里桜から変化したものであり、八重咲きの桜を八重桜と呼びます。なお、牡丹のようにふんわりとたくさんの花をつけることから別名を牡丹桜(ボタンザクラ)とも呼びます。
落葉高木で葉を付けてから咲く特徴があります。染井吉野よりも大きいので、見頃を迎えるとまた違った風情を感じさせます。
冬桜(フユザクラ)
Photo by 合歓の木さん@GreenSnap
開花時期:10月、12~4月
冬桜(フユザクラ)は白や薄ピンク色の花をつける栽培品種の桜です。一重咲きで、別名を小さい葉になぞらえた小葉桜(コバザクラ)や四季桜(シキザクラ)とも呼びます。
冬桜は山桜と豆桜の交配によって生まれたもの。しかし、冬を中心に咲く花であることから、この時期に咲く桜を総称することもあります。花は中輪サイズとやや小さく、白や薄いピンク色の花が見物です。
珍しい桜の種類・品種
日本やアジアを中心にさまざまな桜が分布していますが、そのなかでも珍しい桜、というのもたくさんあります。
ここでは見聞きするのも珍しい桜について3種類ご紹介します。
御衣黄桜(ギョイコウザクラ)
Photo by みどり*。さん@GreenSnap
開花時期:4月中旬
御衣黄桜(ギョイコウザクラ)は江戸時代の京都にある仁和寺がルーツの桜です。その名の由来は美しい色合いが、まるで貴族の御衣に見えるからとされています。
桜といっても唯一緑色の花を咲かせる品種で、沖縄を除く日本各地(100ヵ所以上)で観賞できるとされています。一風変わった桜を見たい方は、京都のほか静岡県を訪れるとより多くの御衣黄桜を楽しめますよ。
西洋実桜(セイヨウミザクラ)
Photo by monoさん@GreenSnap
開花時期:4~5月
西洋実桜(セイヨウミザクラ)は私たちが食べることの多いサクランボをつける桜です。農業の分野においては桜桃(オウトウ)や佐藤錦(サトニシキ)などが有名ですが、これらは本種の実を指しています。
落葉高木で生長すると15~30mにも育ち、5月上旬には白くふわふわとした5つの花をつけます。サクランボが有名な山形県のほか、最近では北海道や青森県、山形県にも分布しています。
八重紅枝垂れ(ヤエベニシダレ)
Photo by chikoやんさん@GreenSnap
開花時期:4月中旬
八重紅枝垂(ヤエベニシダレ)は江戸彼岸桜を片親に持つ園芸品種の桜です。日本では江戸時代頃から栽培されており、遠藤桜(エンドウザクラ)や仙台八重枝垂(センダイヤエシダレ)、平安紅枝垂(ヘイアンベニシダレ)と呼ぶこともあります。
濃いピンク色の花が非常に美しく、八重紅枝垂を見るために世界各地から多くの観光客が訪れます。樹形が整いやすいことから、神社や動物園のほか、公共施設などにも植樹されることの多い品種です。
桜の種類・品種はたくさん!おうちでもお気に入りを育てよう
今回は日本でも有名な桜やとっても珍しい桜などをたくさんご紹介しました。庭木として桜を迎えるのなら、低木タイプの深山桜や染井吉野、熊野桜がおすすめです。
なお、植樹するスペースが確保できないといった方は、盆栽として迎え入れると手軽に美しい桜を楽しめますよ。
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